2020.07.10
コラム

【コラム】<シリーズ:食品ロス②>日本の消費習慣と原因

食品ロスシリーズの第2回目のテーマは、日本での食品ロスの原因に注目していきます。
シリーズの第1回目では、世界の食品ロスの問題点から、日本の現状とリサイクル事情についてご紹介しました。
世界で生産されている食料の3分の1が廃棄されている事実や、日本でも一人あたり毎日お茶碗一杯分のご飯にあたる食料が破棄されている、リサイクルされずに廃棄されている食品廃棄物が多くあることなど、改めて食品ロスの現状について知っていただけたと思います。

【コラム】<シリーズ:食品ロス①>日本の現状から見える問題
では、そもそもなぜ食品ロスが起きてしまうのでしょうか。食品ロスが良くないことは皆さんもイメージできると思いますが、なかなか改善されていないのが現状です。
そして、世界でも経済の発展状況により食品ロスの発生の要因には違いがあるのです。今回は、日本の要因について紹介します。

【日本の食品ロスの要因】
まず、日本において食品ロスを発生させる一つの原因として挙げられるのは、加工品の「3分の1ルール」です。
これは、メーカーから小売業者に納入されるまでの期限が、製造日から賞味期限までの3分の1までとするルール(図1参照)のことです。この3分の1である2ヶ月を過ぎてしまうと、たとえまだ賞味期限まで十分な期間があったとしても、廃棄され食品ロスになってしまう可能性が高くなります。

また小売業者に納品後も、販売期限までに消費者に売り切れなかった場合は、多くの食品がメーカーに返品されたり、廃棄されているのです。金額に換算すると、「流通分野の研究調査をおこなう流通経済研究所は、3分の1ルールにより、日本で年間800億円以上の食品ロスが生じていると試算しています。」(出典:井出留美(2020) 『捨てられる食べ物たち 食品ロス問題がわかる本』 株式会社旬報社 71ページ)

一方で世界の納品期限をみてみると、日本よりも長く設定されています。例えば、アメリカは2分の1、ベルギーなどヨーロッパは3分の2、イギリスは4分の3となっています。納品期限が長い分、小売業者に納入される前に弾かれ廃棄されてしまう食品を減らすことができます。

現在、日本でも3分の1ルールは見直されつつあり、大手の小売り事業者を中心に納品期限を3分の1から2分の1に変更する企業も出てきていますが、なかなか3分の1ルールを変えていくには時間がかかっているのが現状です。
その理由は、何よりも日本の消費者がより長い賞味期限の食材を好む傾向にあることです。
下記の消費者庁の調査によると、買い物の際約40%の人が少しでも期限が長いものを買うと答えています。

(出典:平成28年度消費生活に関する意識調査 結果報告書―食品ロスに関する調査―平成29年7月消費者庁)

日本の消費者のこのような傾向をふまえ、小売業者も賞味期限がより長いものをできるだけ仕入れたいと考えてしまうのです。
もちろん、すぐ使う予定の無い食材は、少しでも長い期限のものを購入した方が廃棄するリスクを少なくできます。せっかく購入したのに腐らせてしまい、食品ロスにしてしまったのでは元も子もありません。
しかし、すぐ使うことが決まっている場合や、期限までまだ十分な期間がある場合は、わざわざ期限の長い商材を選ぶのではなく、手前に陳列されているものから購入することをお勧めします。そうすることで、スーパーなどの小売業者で出る事となる食品ロスを減らすことに繋がり、また私たちの意識の変化で3分の1ルールの慣習の撤廃にもつながっていくのではないでしょうか。

まずは消費者である私たちの意識や行動が、業界のルールや慣習に大きな影響を与えていることを自覚して行動していくことが重要なのです。

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