2020.03.23
コラム

暖房された寝室で、子どもの風邪が77%減少!

寝室で暖房を使用している子どもが、使用していない子どもに比べて、風邪を引くリスクが約77%減少、インフルエンザにかかるリスクが約45%減少したという研究結果(*1)が発表されました。

そこで、研究チームの一員である産業医科大学 藤野 善久教授に研究内容の詳細を伺いました(ロングライフ・ラボ独自取材)。
日本の寝室は暖房されていないことが多いこと、子どもの感染症と寝室暖房による予防効果の関係が解明されていないことを背景として研究が行われました。
藤野善久教授は「布団や衣類で身体を暖かくしても、寝ている時に吸い込む空気が冷たいと免疫力が低下すると思われることが研究結果からわかった。」と話しています。

調査は、福岡県の0-12歳のうち、暖房を使用している子ども156人、暖房を使用していない子ども155人の計311人を対象とし、201812月から20192月までの3ヶ月間行われ、インフルエンザの発症や発熱、風邪の発症などの状況を比較しました。
下図のとおり、寝室で暖房を使用している子どもは、使用していない子どもと比較して風邪のリスクが77%減少、インフルエンザにかかるリスクが45%も減少したという結果が得られています。

論文では、下記のとおり結論づけています。
「Conclusion: This study implies that the heating of bedrooms may have a preventive effect against infections among children. Broader dissemination of this knowledge in Japan will require cultural change through public health awareness.」(原文)
「結論:この調査より、寝室を暖かく保つことが子供の感染症予防に効果があることを示している。日本において、この調査結果を広く普及するためには、人々の健康意識を通して、今までの 習慣(考え方) を変えていく必要がある。」(和訳:ロングライフ・ラボ)
研究結果から、私たちは風邪や免疫力低下を防ぐために、寝室を暖めて寝る習慣が必要であり、室温がとても重要なことが分かりました。

しかし、日本の就寝中における寝室の冬季平均室温が18℃未満の住宅が90%という調査結果があり、日本の住まいの生活の中で、寝室を暖めて寝る習慣があまりないのが現状です(出典:一般社団法人日本サステナブル建築協会「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第4回報告会」より)。
また、日本の住宅の多くは断熱性能(保温性)が低く、暖かいお部屋にするためには、多くのエネルギーを使い暖めているのが現状です。

私たちが地球環境を守りながら、健康を維持増進するためには、なるべく少ないエネルギーで家全体が暖まる断熱性が高い住宅が必要です。日本の家から「寒い」を無くしていきましょう!

■*1:出典情報
「Journal of Epidemiology誌」 論文:https://doi.org/10.2188/jea.JE20190312
A prospective cohort study of bedroom warming with a heating system and its association with common infectious diseases in children during winter in Japan
Fuyu Miyake, Chimed-Ochir Odgerel, Yuko Mine, Tatsuhiko Kubo, Toshiharu Ikaga, Yoshihisa Fujino

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