2021.06.23
コラム

【コラム】世界の水不足と日本との関り

毎日の生活の中で、何気なく大量に使用している水。日本では蛇口をひねれば今は当たり前に出てきますが、世界では水不足が深刻化していることをご存知でしょうか。
2050年には深刻な水不足に見舞われる河川流域の人口は、39億人(世界人口の40%以上)となる可能性もあると予想されており、非常に深刻な社会課題の一つです。(参考:国土交通省 水資源問題の原因
既に深刻な水不足を抱えている地域では、今も池や川、湖、整備されていない井戸などから水を汲んでおり、その数は6億6,300万人にも上ります。その半数近くがサハラ以南のアフリカ諸国に集中しており、現地の330万人を超える子どもたちが水汲みの仕事を担っています。子どもたちは安全でない水を飲む事で命を危険にさらすだけでなく、水汲みに時間が取られる事で学校に通う事もできておりません。(参考:ユニセフ
また今は水不足に陥っていない国であっても、自国の河川が干上がってしまうなど、ここ数十年で水不足に陥る可能性があると言われています。さらに、自国の水が極端に不足しなかったとしても、食料や飲料水を他国に依存している場合、世界の水不足の影響を直接受けることになるのです。
日本で生活していると、安全な水をいつでも享受することができるため、その価値や重要性を忘れてしまいがちです。つい水道を必要以上に出しっぱなしにしたり、飲めるきれいな水を掃除に使用したりなど、水不足で苦しむ地域の人からすると考えられないほど贅沢で、かつ無駄を生み出しているのです。
そこで今回は水不足の問題について、今と今後、そして世界と日本の側面から、シリーズにて考えていきます。

1.地球上の利用可能な水
まず、地球上の水のうち、どれくらいの割合の水が利用できるのか知っていますか?
地球上に存在している水のほとんどは海水であり、海は地球の表面の7割を占めています。海水は地球が保有している水量の全体の約97.5%を占め、それと比較すると淡水は約2.5%となっています。さらに、この淡水中の約70%は極地の氷であり、湖沼、河川など私たちが日常生活に利用できる水は地球上の水のうち0.01%しかないのです。(参考:国立環境研究所 コラム2「水をめぐる世界の環境変化」≪最終閲覧日:2021年6月21日≫)
地球上に大量にあるように見える水ですが、実は私たち人間が利用できる水は非常に限られているため、大切にしなければいけないことがわかります。
ただし、使える水は限られているものの、世界の人が利用するのに十分な量は存在しています。にもかかわらず、水資源は世界の地域別に偏りがでてしまっているのです。

2.世界の地域別の水ストレス

(出典:WORLD RESOURCES INSTITUTE Aqueduct tools 【Aqueduct Water Risk Atlas Baseline】≪2021年6月22日閲覧情報≫)

水需給のひっ迫の程度を表す指標として、水ストレス(人口一人当たりの利用可能水資源量)があります。こちらが1700㎥を下回ると水ストレス下にあるとされ、さらに1000㎥を下回ると水不足の状態とされます。
赤くなっている地域は水ストレスが高い地域で、中でも中東や北アフリカの地域は世界でも最も水不足が深刻とされています。もともと水資源が乏しい地域でしたが、後ほど説明する急激な人口増加や、また農業での過剰なくみ上げが水不足を加速させてしまっているのです。水不足の地域では安全な飲み水の不足や、農業に必要な水の確保が困難になり、人々の生活に深い影響を及ぼしています。
また、日本も水不足について他人事ではなく、今後より影響を受けると危惧されています。普段の生活で水不足という実感はないと思いますが、日本は食料を海外に多く依存していることから、海外の水不足は日本の食卓にも大きな影響を及ぼすことになるのです。また、ミネラルウォーターも海外からの輸入品に頼っている現状があります。次回のジャーナルで詳細をお伝えしますが、水不足は日本も今後直面する課題であり、また日本が世界の水不足に影響を与えてしまっていることもわかります。

3.水不足の要因
では、世界で水不足が起こる主たる要因は一体何なのでしょうか。代表的な2つの要因を紹介していきたいと思います。
【3-1.人口増加】
水不足の最も大きな要因と言われているのが、人口増加です。世界の人口は、年々増加の一途をたどっています。1970年37億人だった人口は、直近50年間で倍増し、2020年には78億人に達しました。世界人口を歴史的(数百万年)に捉えると、人口が急激に増加したのはごく最近なのです。さらに、2030年には85億人、そして2050年には97億人へと増えると予測されています(世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(日本語訳))。人口が増加すると、それだけ水の使用量も増えていきます。さらに、急激な経済発展により豊かな生活を送る人が増えていくことで、水の使用量は格段に上がっていくことが予想され、今後さらに水不足は深刻化することが懸念されています。

【3-2.温暖化】
また水不足の要因は人口増加だけではありません。様々な側面から問題視されている地球温暖化も水不足に大きな影響を与えているのです。
温暖化による気候変動で、降水量が減るとされる地域もあります。また、干ばつを受ける地域が広がったり、大雨の頻度が増えて洪水リスクが増大したりすると予測されています。このとき、河川流量の時間的な変動も大きくなるので、水資源が不安定になる地域があると考えられています。(参考:国立環境研究所地球研究センター 世界の水不足、原因は温暖化?≪最終閲覧日:2021年6月21日≫)

4.最後に
世界で起こっている水不足の現状と要因について、理解していただけたでしょうか。
生きていくうえで絶対に欠かせない水が世界の広い地域で不足しており、かつ今後もより深刻化していくことが指摘されています。日本でも温暖化による異常気象などにより、いつ水不足に陥るかわかりません。普段から水を使うときは、こまめに水を止めたり、雨水を溜めて利用したり、洗濯物はまとめて洗うなど節水を意識する習慣をつけましょう。
また日本で暮らす私たちの生活が、世界の水不足に影響を与えてしまっています。次回のジャーナルでは、世界の水不足と日本の関係について紹介していきます。

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